コラム

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福利の施策で定着率のアップは期待できるのか?

|寺嶋 一郎(株)ベネフィット・ワン ヒューマンキャピタル研究所 コンサルティング部長

 前回のコラムでは、新入社員の離職を防止するためには、「新入社員が定着したいと思えるよう組織として受け入れてあげることが大切」ということをお伝えしました。

 そのためには組織として受け入れてあげていることをどう伝えていくのかが大切になります。口頭で伝えるのでしょうか、文書で伝えるのでしょうか、伝えると言っても、そのどちらでもありません。口頭や文書で「組織として受け入れていますよ」と伝えても、ちゃんと新入社員に伝わらなかったり、伝わったとしても実際と異なったりしたとすると「外面だけ」と受けとめられかねません。大切なのは、新入社員本人に「受け入れられている」と感じてもらうこと、納得してもらうことです。

 マズローの欲求5段階説をご存知でしょうか。人の欲求は『下位から上位へと段階的に上昇していく』という、心理学の世界では有名な理論です。これを会社の組織や施策に当てはめてみると、

・一番下の生理的欲求は、食欲、睡眠欲と呼ばれる根源的な欲求です。食べていくだけの給与がもらえない会社には居たくない、福利厚生が乏しい会社なんてつまらない、長時間労働で寝る時間もない会社なんて楽しくない、というものです。

・二番目の安全の欲求は、安全で安定感のある生活を送りたいという欲求です。いきなりクビになったりするような会社では、その欲求を満たすことは難しくなります。

・三番目の親和の欲求は、社会的欲求、所属の欲求とも呼ばれ、仲間として歓迎されたい、受け入れられたい、というものです。

 この理論のポイントは下位の欲求が充足されないと上位の欲求は達成できない、というところです。食べていくだけの給与がもらえない、福利厚生の仕組みが乏しい会社だと、新入社員に「受け入れていますよ」と伝えても、納得感を得ることは難しくなります。いつクビになるのかわからない会社であれば、「いても仕方ない」というメッセージが伝わってしまいます。「いくら受け入れていますよ」と言っても、生理的欲求や安全の欲求が満たされない組織では、定着率は上がっていかないことになります。

 実は、昨今、採用のために福利厚生を充実させていこうとする動きにはこういう背景があったわけです。もちろん、福利厚生を充実させることは、新入社員だけではなくすべての社員にもメッセージとして伝わりますので、会社として福利厚生を上手く活用していくことが組織運営のポイントになってきています。

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