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共済会の設立のススメ(連載1)
共済会設立のメリットと手順

|可児俊信
千葉商科大学会計大学院 教授 (株)ベネフィット・ワン ヒューマンキャピタル研究所 所長

1 共済会とは

 多くの企業や官公庁の職域には共済会があり、福利厚生の一翼を担っています。名称は、共済会の他、互助会、職員互助会、厚生会、社員会、福祉会等さまざまです。共済会とは、一般にその職域で働く従業員・職員が共済会員となり共済会費を負担し、同時に職域である母体の事業主も拠出します。その労使の財源で、慶弔給付や貸付等の相互扶助事業、補助や割引による自助支援事業といった共済事業を展開します。図表1は、共済会の一般的な仕組みです。

図表1

2 4つのメリット

 共済会を設立するメリットを、以下に列挙します。

(1)原資の安定性

 共済会事業の原資は、会員からの共済会費、母体からの拠出金等で成り立っています。共済会費や拠出金の算定方法が共済会規約で定められていることから、安定した財源となります。
 また、共済会は構成員である会員の範囲が明確であるうえ、母体の役職者が理事長として選出されており、意思決定を行う評議員会、理事会等の組織もあることから、法人ではないものの社団としての性格は備えております。よって母体企業等とは別の組織といえます。よって、母体の事業主の福利厚生は業績によっては削減または見直されることもありますが、共済会は母体とは別の団体であることと、財源が安定して収入されることから、相対的に継続されやすいです。

(2)労使の共同参画

 共済会の原資は会員も負担していることから、共済会事業の運営にも参画することができます。母体に労働組合がある共済会では、労働組合が運営に参画します。労働組合は、労働組合自体で組合員福祉事業を主導してきた他、事業主に対して福利厚生の拡大や充実を要求してきました。共済会運営では、要求するのではなく運営する立場となり、今まで以上に福利厚生に主体的にかかわる立場となります。
 事業主が実施する福利厚生では、労働組合や従業員等は要求する立場ですが、共済会事業においては事業主と同じく責任を持って、労使共同で運営する立場となります。

(3)事業主の負担軽減

 福利厚生は、事業主の費用負担で行います。それに対して共済会事業は、従業員等も共済会費を負担します。これにより、事業主の負担はその分軽減します。仮に共済会の労使の負担が半々であるなら、同水準の給付を事業主の福利厚生費で行う場合と比べて、半額の費用負担で賄えることになります。
 これは、新しい福利厚生制度を実施する際に、事業主の福利厚生で行うより共済会事業として行うことで、事業主の費用負担を軽減できることを意味します。また福利厚生充実に向けて新規に共済会を立ち上げることで、事業主はより少ない負担で福利厚生を充実できることになります。

(4)事業主の福利厚生をカバー

 福利厚生は、社会環境の変化、雇用環境の変化によって、新しいニーズが生まれます。具体的には、育児・介護支援といった両立支援の福利厚生や従業員等の疾病予防・健康増進の支援はこうした環境変化によって、現在重視されている福利厚生です。仮に、事業主が実施している福利厚生が今の時代のトレンドに追いついていない場合、共済会事業でそれを実施し、事業主の福利厚生をカバーすることができます。

3 共済会設立の現状

 共済会は、大規模な職域になるほど、設置されている割合が高くなります。民間企業では、 78%の企業に共済会があります(「旬刊福利厚生(第2206号)」、労務研究所)。また、官公庁では、ほとんどの職域において職員互助会があります。
 共済会の新設もあり、新設される事例としては、チェーン店の拡大等で急成長した企業で、福利厚生を整備する段階となって、従業員が増え過ぎ、福利厚生費が相当の負担となってしまう場合に、従業員にも負担を求めて事業主の費用負担を軽減する目的で新設されることがあります。


4 新設に向けたスケジュール・実施事項

 共済会は、法令で定められた設立手続きはないため容易に設立できます。一方で、会員となる従業員等の給与から会費が控除されるため、それに見合って福利厚生が充実することで納得を得なければなりません。
 新設の手順としては、

①共済会の事業内容と給付水準の案を作成します。事業規模は設立当初から大きくせず、段階的に広げるのが現実的です。

②共済会の会員となる従業員等の範囲を決めます。正社員のみか、役員も含むのか、非正規社員も一定の範囲で対象とするのかということです。

③年間に発生が見込まれる給付・補助の件数・総額を見積もることで、年間の支出額が予測できます。なお、事務局経費も支出額に盛り込みます。支出額を共済会員対象者数で除すれば、一人あたりの必要な会費額を算出できます。

④事業内容と会費額を従業員等に説明し、共済会設立と会費の給与控除の同意を得ます。同意が得られた後、人事総務部門内に設立準備事務局を立ち上げて、詳細な準備を進めます。

⑤共済会の設立理事会を開催し、共済会を発足させます。

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