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共済会の設立のススメ(連載2)
事業内容と会費、加入者範囲

|可児俊信
千葉商科大学会計大学院 教授 (株)ベネフィット・ワン ヒューマンキャピタル研究所 所長

1 相互扶助事業と自助支援事業

共済会事業は、慶弔給付や貸付といった相互扶助事業と補助や割引による自助支援事業で成り立っています。(図表1)慶弔給付は相互扶助の原点であり、会員の慶事・弔事を事由とする金品の給付および会員の不測の損失発生における補償給付があります。貸付は共済融資とも呼ばれ、やはり相互扶助が目的です。


図表1

一方、会員の自助支援を目的とする事業もあります。補助型自助支援事業は、会員が旅行、自己啓発といった共済会が定めた範囲の活動を行った際に、かかった費用の一部を補助することで会員の活動を促す事業です。もう一つは割引型自助支援事業です。これは宿泊施設、スポーツ施設を共済会が法人契約して、会員が割引価格で低廉に利用できるもので、補助型とともに、会員の活動を促す事業です。いずれも会員の自己負担を軽減して活動を促すものです。

2 慶弔給付

(1)慶事給付
本人成人祝金品、結婚祝・子女結婚祝金品、出産祝金品、入学・進学祝金品、銀婚祝金品等があります。これらは、会員のライフイベントの発生を互いに祝福し金品を贈ることで、会員相互の信頼感の醸成とコミュニケーションの活性化を図るものです。
(2)弔事給付
死亡弔慰金(本人、家族)、遺児育英年金、傷病見舞金、災害見舞金等があります。目的は、慶事給付と同じく残念なライフイベントが発生した会員を慰め、力づけるものです。
(3)補償給付
休業補償金、医療費補償金等があります。補償給付は、生活上のリスクが実現し損失が発生した際に、その損失を補填します。弔事給付は、給付事由の発生に着目した給付ですが、補償給付は給付事由の発生がもたらす損失の補償に着目した給付です。

3 貸付

貸付は、借入目的別に設計されています。大きく分けると、住宅の新規取得、リフォームまたは災害に伴う再建築等に関連する貸付と、それ以外のライフイベント資金の貸付です。ライフイベント資金の貸付は、さらに緊急度に応じて、災害復旧資金、医療費資金、教育、出産、結婚等に分けられ、それぞれに応じた利率、貸付限度額および返済期間が設定されています。

4 自助支援事業

(1)補助型自助支援事業
 補助型自助支援事業とは、金銭での経済的利益の提供です。慶弔給付が、会員が所定の給付事由に該当した場合に給付されるのに対して、補助型事業は会員が積極的に行う活動に対して金銭的な補助を行う点が異なります。会員は、補助により負担が軽減されることを前提に活動を起こします。よって共済会は補助事業によって会員の積極的な活動を支援することとなります。両立支援、疾病予防・健康増進支援、自己啓発支援、財産形成支援、コミュニケーション支援等があります。 (2)割引型自助支援事業
補助型事業が金銭補助であるのに対して、割引型事業は外部の業者が提供するサービスを共済会が法人契約することで低料金・低価格で提供して、会員の活動を促すものです。よって手法の違いはあっても目的は類似しています。疾病予防・健康増進、リフレッシュ、コミュニケーション、冠婚葬祭等への割引支援があります。

5 会員の範囲

共済会の会員の範囲は、共済会規約で定めます。正社員は当然に対象であり、役員もほとんどの共済会で対象です。非正社員をどこまで含めるかは、共済会ごとに異なります。母体の従業員全体に占める非正社員の割合が高いほど、会員の対象とすることになります。非正社員の割合が高いのに正社員だけの共済会では、従業員全体に占めるカバー率が低くなり、福利厚生が持つ生産性向上や満足度の向上の効果が少なくなることと、正社員と非正社員が別扱いされていると捉えられてしまう懸念も発生するためです。

6 会員会費

会員会費は、全会員が同じ金額を負担する定額制と、基本給や標準報酬月額に掛金率を乗じて算出する定率制があります。定額制のメリットは、負担が公平であることと全員同額なので会費徴収が簡便であるため、会費の負担が大きくないなら、定額が望ましいです。
会費が高額になると負担能力に応じた定率制が増えてきます。この場合は、あまり会費が高くなりすぎないよう上限額を設けます。共済会費の算出基準となる額はなるべく変動しないものが望ましく、年に一度の変更が原則である基本給や標準報酬月額が用いられます。

7 母体事業主の拠出金

母体である事業主の拠出金の算定は、共済会費と同額を拠出するのが一般的です。同額以外に拠出金が共済会費の1.5倍、2倍等多めになっている共済会もあります。逆に、拠出金がない共済会もみられ、特に従業員共済会と呼ばれます。
共済会費は母体企業等が給与控除で共済会口座に入金されますが、拠出金の入金経路は2つあります(図表2)。


図表2

まず拠出金は母体から直接共済会口座に入金する方法です。これを直入方式と呼びます。もう一つは、母体の拠出金相当額を「共済会費補助金」「福祉手当金」といった名目で会員の給与に加給します。共済会費と拠出金相当額を合計した額を給与控除で共済会口座に入金します。これを加給方式と呼びます。
 直入方式では、共済会口座には共済会費と拠出金が混在していますので税制面で煩雑となりますが、税制面での煩雑を避けるため、共済会費と拠出金を区分経理することで、両者の資金が混在しないようにすることができます。

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