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共済会の設立のススメ(連載3)
設立形態で異なる共済会税制

|可児俊信
千葉商科大学会計大学院 教授 (株)ベネフィット・ワン ヒューマンキャピタル研究所 所長

1 共済会の団体性

共済会の団体性は、人格の有無によって分類できます。一般社団法人または一般財団法人として人格を持つものと、「人格のない社団」(「権利能力のない社団」ともいいます)です。

社団とは、特定の目的を持つ人の集まりで構成される団体です。同窓会は同じ学校を卒業した卒業生で構成され、会長や理事会を持ち、卒業生同士の懇親や情報交換を目的に運営される社団です。マンションの管理組合も、同じマンションに専有居室を持つ住民等で構成され、マンションの維持・管理を目的に、理事長、理事会で運営される社団です。

共済会も同じ職域に勤務する従業員等を構成員として構成され、その構成員に対して福利厚生を提供することを目的とする団体であり、理事長、理事会等の機関を持つことから社団といえます。社団が人格を持ち権利能力を持ったものが一般社団法人です。

2 税制からみた共済会組織

共済会は、税制の観点でも分類できます(図表1)。共済会自体が課税の客体となるかどうかです。

まず一般社団法人・一般財団法人である共済会は独立した法人ですので、課税の客体となりえます。

人格のない共済会は、「人格のない社団」であり、税制上は法人と同様に扱われます。それに対して、人格がないうえ「人格のない社団」にもあたらない共済会は、「福利厚生団体」(福利厚生を目的として組織された従業員団体)とされます。よって、共済会は、税制上、一般社団・財団法人、「人格のない社団」、福利厚生団体の3つに分類されることになります。「人格のない社団」は、税制上、母体とは独立した団体であり、福利厚生団体は母体と一体です。

図表1

3 福利厚生団体と「人格のない社団」

人格のない共済会が、税制上「人格のない社団」ではなく福利厚生団体に分類される要件は、以下のとおりです。

まず、基礎要件として、

 1 役員・従業員で組織されている
 2 主として役員・従業員の親睦・福利厚生事業を行っている
 3 その事業経費の相当部分を母体法人が負担している

という3つの要件をすべて満たしたうえで、以下の選別要件のいずれかを満たすものです。

 1 母体法人の一定の役職者が役員に選出される
 2 母体法人が業務運営に参画している
 3 施設を母体法人が提供している

基礎要件1、2は、共済会であれば当然満たします。また選別要件1、2、3のいずれかは、母体法人も拠出している共済会であれば満たすはずですから、結果的に基礎要件3を満たせば福利厚生団体となります。基礎要件3でいう「相当部分」については具体的な割合は明示されていませんが、かなりの部分を母体が負担しているということです。

しかし母体法人の拠出方法には、連載第2回で述べた直入方式と加給方式があることに留意しなければなりません。直入方式で相当部分を拠出していれば、福利厚生団体です。

加給方式では、共済会からみて事業費の全額が会員会費であることになり基礎要件3を満たしませんので、「人格のない社団」となります。

図表2

4 共済会からの給付等の税制

給付等に対する税制も、「人格のない社団」か福利厚生団体かで異なります。

「人格のない社団」である共済会の給付等に関する税制は、明らかではありませんが、筆者は以下のように整理しています。例えば生命保険会社からの給付金・保険金は、保険料を負担した者が受け取った場合は、一時所得(または年金であれば雑所得。医療給付は非課税)とされます。このように「人格のない社団」である共済会からの給付等は、事業主以外からの給付等に対する税制を適用できると考えることができます。よって、慶事給付は一時所得として所得税の課税対象と整理できます。

福利厚生団体である共済会の給付等に関する税制も、明らかにされてはいませんが、福利厚生団体は税制上、母体と一体であることから、給付等は母体法人からの給付等とみなされますので、福利厚生の税制を適用できると、筆者は整理しています。

いずれの共済会であっても、大部分の弔事給付および補償給付は所定の要件を満たすことで、「心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金」にあたるとして非課税となります。遺族が受け取る本人死亡弔慰金は、相続税の課税対象となりますが、死亡弔慰金額が普通給与の6か月分(業務死亡の場合は36月分)以内であれば非課税とされています。

5 共済会の機関と運営体制

共済会は、独立した団体であることから、議決機関と執行機関を持っています。議決機関は通常、会員の代表である評議員で構成され、規約・規程の変更、予算・決算の承認等の重要な事項を決定します。評議員会の議決を執行するのが理事会です。理事会は理事で構成され、理事会の長が理事長で共済会の代表者です。理事の執行を補佐するのが、事務局であり、事務長がその長です。大規模な共済会では、評議員会と理事会と事務局が別々に存在し、それぞれ機能しています。規模が小さくなると、理事会が議決機関も兼ねているところもあります。または理事長と事務局のみということもあります。

その他に、理事の業務を監査する監事と会計を監査する会計監査人を置くこともあります。

以上


本稿は、筆者の著書「共済会の実践的グランドデザイン」(労務研究所刊)の掲載内容をまとめたものです。


共済会の新設・見直しに関するコンサルティングのお問い合わせ
担当:可児俊信(かに)
 E-mail : t.kani@benefit-one.co.jp
 電話  : 03-6870-3901

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